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HubSpot MCP Server。AIとCRMデータをつなげて使う

2026年02月25日更新 2025年08月29日初出)|執筆者:西岡草実(Soma Nishioka)
Data HubBreeze AI
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HubSpot MCP Serverを使うと、AIツールから直接HubSpotのCRMデータを操作できるようになります。この記事では、MCPの基本的な仕組みから、実際にClaudeと連携して感じたメリットや注意点、そしてセキュリティ面の設計について整理しました。

注意

この記事は2025年7月のニュースレターの内容を元に、公式ドキュメントや海外パートナーの発信情報をもとに大幅に加筆・再構成したものです(2026年2月更新)。

HubSpotとAIの全体像については、以下の記事もあわせてご覧ください。

HubSpot MCP Serverとは

MCP(Model Context Protocol)は、AIツールが外部のデータやサービスにアクセスするための標準的なプロトコルです。HubSpotはこのMCPに対応したサーバーを提供しており、AIツールからCRMデータの取得・作成・更新が行えます。

HubSpot MCP Serverは2025年5月にPublic Betaとしてリリースされました。

HubSpot MCP Serverの概要画面

2種類のMCP Server

HubSpotには目的の異なる2つのMCP Serverがあります。混同しやすいので、ここで整理しておきます。

Remote MCP ServerDeveloper MCP Server
用途CRMデータへのアクセス(運用者向け)HubSpotアプリの開発支援(開発者向け)
主な機能コンタクト・取引・チケット等の読み取り/書き込みプロジェクトのスキャフォールディング、デプロイ、ドキュメント検索
認証方式OAuth 2.0(2.1移行予定)HubSpot CLI(v7.60.0以上)
接続先https://mcp.hubspot.comローカル CLI
ステータスPublic BetaPublic Beta

この記事では主に Remote MCP Server(CRMデータとの連携)について扱います。

MCPでできること

Remote MCP Serverを通じて、以下のようなCRMデータ操作が可能です。

対応オブジェクトと操作

オブジェクト読み取り作成・更新
コンタクト対応対応
会社対応対応
取引対応対応
チケット対応対応
カスタムオブジェクト対応対応
商品・見積もり対応対応
エンゲージメント(メモ・タスク等)対応対応
ユーザー対応
請求書・注文対応

※ プライベートアプリのスコープ設定で、アクセス範囲を制限できます。

主な操作カテゴリ

  • データ取得・検索:プロパティやカスタムフィールドを使った高度な検索・フィルタリング
  • レコード管理:コンタクトや取引の作成、プロパティの更新、オブジェクト間の関連付け
  • エンゲージメント:メモの追加、タスクの作成、アクティビティの取得
  • 一括操作:複数レコードの同時更新や作成
  • UI操作:特定のHubSpot画面を開くリンクの生成

MCPと連携できるAIツール

HubSpot MCP Serverは特定のAIツールに限定されず、MCPプロトコルに対応したさまざまなクライアントから利用できます。

AIツール種類特徴
Claude DesktopデスクトップアプリAnthropic公式。MCP対応が充実
Claude CodeCLIツールターミナルから操作。開発者向け
CursorコードエディタAI搭載IDE。開発作業と並行してCRMデータを参照可能
WindsurfコードエディタAI搭載IDE
VS Code(Copilot Chat)コードエディタMCP対応が拡大中

私はClaude Desktop(現在はClaude Code)で利用しています。この記事の活用事例もClaudeでの体験に基づいています。

Claude Desktopでのセットアップ

Claude DesktopでMCP Serverを利用するには、設定ファイルに以下を追記します。詳細な手順はHubSpot公式のMCPドキュメントを参照してください。

{
  "mcpServers": {
    "hubspot": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@hubspot/mcp-server"],
      "env": {
        "HUBSPOT_ACCESS_TOKEN": "your-private-app-token",
        "HUBSPOT_PORTAL_ID": "your-portal-id"
      }
    }
  }
}

HubSpot側では、プライベートアプリを作成してアクセストークンを取得し、必要なスコープ(権限)を設定します。

HubSpot MCPとClaude用コネクタの比較

HubSpotのCRMデータにAIからアクセスする方法は、MCPサーバーだけではありません。Claude用のHubSpotコネクタやChatGPTコネクタも提供されています。

機能・特徴MCP ServerClaude用HubSpotコネクタChatGPT用HubSpotコネクタ
セットアッププライベートアプリの作成とトークン設定が必要OAuth認証で接続するだけOAuth認証で接続するだけ
利用環境MCP対応クライアント(Claude Desktop等)Claude(Web / デスクトップ)ChatGPT
読み取り標準/カスタムオブジェクト、エンゲージメント含む標準/カスタムオブジェクト、エンゲージメント標準/カスタムオブジェクト
書き込み対応(スコープで制御)対応(ベータ。10件/回の制限あり)対応(ベータ)
カスタマイズ性スコープ単位で細かく制御可能限定的限定的
必要なプランFree含む全プランAnthropic有料プラン + HubSpotアカウントChatGPT有料プラン + HubSpotアカウント
技術レベルやや高い(トークン管理、JSON設定)低い(GUIで完結)低い(GUIで完結)
注意

2026年2月時点では、Claude用コネクタでも標準オブジェクト以外やエンゲージメントの取得、ベータ版での書き込みに対応しています。以前より機能差は縮まっています。

選び方の目安としては、手軽に試したい場合はコネクタスコープを細かく制御したい場合やFreeプランで利用したい場合はMCP Serverが適しています。

活用事例

実際にClaude × MCP Serverで試している内容を共有します。

ミーティングログの整理と蓄積

ZoomやGoogle Meetといったミーティングツールとの自動連携によってHubSpotに保存されたミーティングログをClaudeに渡し、要点の整理や参考情報の収集を依頼できます。整理された情報はメモアクティビティーとしてHubSpot側の会社・コンタクトに保存します。

Proプランであればワークフローで自動化できる処理ですが、Starterプランの環境でも、MCPを経由すれば高額なプランを払わずに同等の処理が実現できます。

注意

ミーティング内容の要約やメモの追加であれば、HubSpot内蔵のAI機能「Breezeアシスタント」でも対応可能です。MCPは、要約結果をもとにプロパティーの更新やタスク作成まで一連の処理をつなげたい場合に強みがあります。

情報のタグ付け(プロパティの動的管理)

プロパティーやその値をAPIを通じて作成・編集できるため、「複数のチェックボックス形式」のプロパティーを作成し、コンタクトや会社に気になった情報を都度タグとして付与しています。プロパティーとして保存しておけば、後からリストで絞り込みたいときに便利です。

ロール別の活用イメージ

MCP Serverの活用は個人的な運用だけでなく、チームの各ロールでも有用です。海外のHubSpotパートナーが発信しているユースケースも含めて整理しました。

ロール活用例
セールス商談前にコンタクト・会社の過去のエンゲージメントを要約。取引ステージの更新やフォローアップタスクの作成
マーケティングパイプラインのコンバージョン率をAIに分析させる。キャンペーン別のリード数をダッシュボード化
カスタマーサービスチケットの対応履歴を要約し、引き継ぎをスムーズに。SLA違反のチケット一覧を抽出
RevOps重複コンタクトの検出。必須フィールドが未入力のレコード一覧。データクレンジングの効率化

MCPでできなかったこと

CRMのAPIとして公開されているデータは取得できますが、マーケティングAPI経由のデータ(例:過去に開封されたメールの一覧)はMCP Server経由では取得できません。

例えば、「過去開封されたニュースレターのvol.番号をチェックボックス形式で入れてください」という依頼はうまくいきませんでした。HubSpotのコンタクトプロパティーで取得できるメール情報は「前回のマーケティングEメール」(最後に送信されたメールの名前)のみで、過去の開封履歴はプロパティーとしては取得できないためです。

セキュリティと権限設計

HubSpotの公式ドキュメントでは、本番環境での読み取り専用権限が強く推奨されています。

エージェントがアクセスできるデータは、HubSpotプライベートアプリとそのスコープを通じて制御できます。LLMは誤認識する可能性があるため、誤操作を防ぐため、本番環境のHubSpotアカウントではスコープを読み取り専用に設定することをお勧めします。
developers.hubspot.com/mcp より

AIによるデータ編集のリスク

AIにデータ編集を任せる際には、以下のリスクを理解しておく必要があります。

  • ハルシネーション:AIが誤った情報を生成し、意図しないデータ変更が発生する
  • 不適切な関連付け:オブジェクト間の関連付けを誤り、データの整合性が崩れる
  • 一括操作の影響範囲:複数レコードの同時更新で、想定外のデータ破損が起きる可能性

推奨される権限設計

環境推奨スコープ用途
本番アカウント読み取り専用*.readデータ確認、レポート、分析
サンドボックス読み取り + 書き込み検証、テスト運用
検証後の本番必要最小限の書き込み権限を追加限定的なデータ更新

会社でデータ編集機能の利用を検討する場合は、情報システム部門や法務部門に相談し、リスク評価と適切な管理体制を確立した上で利用してください。

MCPサーバーの選択肢

HubSpot公式以外にも、コミュニティが開発したMCPサーバーが存在します。

サーバー開発元特徴
@hubspot/mcp-serverHubSpot公式公式サポート。セキュリティ面で安心
peakmojo/mcp-hubspotコミュニティ(Python)セマンティック検索、会話データのベクトル検索に対応
Composio HubSpot MCPComposio233以上のツール。多機能だが現在は非推奨

2025年11月以降、HubSpot Marketplaceに掲載するAIコネクタは公式MCP Serverの利用が要件となっています。基本的には公式サーバーの利用を推奨します。

HubSpot MCPの主な経緯

時期出来事
2025年5月MCP Server Public Betaリリース
2025年9月Remote MCP Server提供開始(全Hub・全プラン対象)
2025年11月Marketplace掲載のAIコネクタにMCP Server利用が必須化
2026年1月Self-Service MCP Auth Apps UIの提供開始(OAuth 2.1対応)

よくある質問

MCPは無料で使えますか?

はい。HubSpot Freeプランでも利用できます。ただし、MCP Serverの設定にはプライベートアプリの作成が必要で、多少の技術的な知識が求められます。

Starterプランでも意味がありますか?

あります。Proプランのワークフローで自動化するような処理(例:ミーティングログの整理、データの一括更新)を、MCPとAIで代替できる場合があります。上位プランへのアップグレードなしに高度な運用を実現する手段として有効です。

データが壊れる心配はありませんか?

リスクはあります。そのため、HubSpot公式も本番環境では読み取り専用のスコープ設定を推奨しています。書き込みを試す場合は、まずサンドボックス環境で検証し、本番では必要最小限の権限に絞ることが重要です。

MCPとコネクタ、どちらを使うべきですか?

手軽に始めたいならClaude用HubSpotコネクタ(OAuth接続のみ)、権限を細かく制御したい・Freeプランで使いたい場合はMCP Serverが適しています。両方を併用することも可能です。

参考情報

HubSpot公式

海外パートナーの情報

日本語の参考記事

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西岡 草実

執筆者

西岡 草実(Soma Nishioka)

HubSpot Solutions Provider

アユダンテ株式会社でSEO/コンテンツ制作、株式会社100でHubSpotコンサルタントを経験。現在はsoma24として、企業規模を問わずHubSpotの成果最大化を支援しています。

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