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HubSpotカスタムレポートの式フィールド活用ガイド。実践例つきで即使える

2026年02月25日更新 2026年02月18日初出)|執筆者:西岡草実(Soma Nishioka)
HubSpot CRM
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HubSpotのカスタムレポート作成で「決められたプロパティーで四苦八苦しながらレポートを整形していた」という経験はないでしょうか。

式フィールド(Formula Fields)を使えば、レポート作成画面の中で直接計算ができるようになります。わざわざ計算プロパティーを作ったり、ワークフローで値を埋めたりする必要がなくなるわけです。

この記事では、式フィールドの基本から実践的な活用例6つ、そしてハマりがちなポイントまでまとめています。

式フィールド(Formula Fields)とは

式フィールドは、カスタムレポート作成ツール内で 行単位(row-level)の計算 を行える機能です。

「このプロパティーとこのプロパティーを掛け算したいだけなのに...」と思いながら、計算プロパティーを作ったりワークフローで値を埋めたりしていた方も多いのではないでしょうか。それがレポート作成画面の中で直接できるようになりました。

カスタムレポートのチャート設定画面下部にある「式フィールド」セクション。「追加+」ボタンから式を作成できる

「追加+」をクリックすると、以下のような式エディターが開きます。

式エディターの画面。「フィールドを挿入」「関数」「一般的な式」のドロップダウン、AIによる式作成ボタン、関数ライブラリーが並んでいる

エディター下部のメニューから式を組み立てていきます。もちろん直接手入力も可能です。今回作成したレポートもほとんどがフィールド挿入からの手入力で実装しています。

メニューできること
フィールドを挿入データソースのプロパティーを [DEAL.amount] のような形式で挿入
関数IF、DATEPART、CONTAINSなどの関数を挿入
一般的な式よく使われる式のテンプレートを選択
【例】コンタクト数、取引数、子会社数、進行中の取引の件数、成約率...etc
AIを利用して新しい式を作成自然言語で指示するとAIが式を生成

一般的な式は正直、あまり触ってきていなかったのですがこの記事を書くタイミングで触り、「コンタクト数とかHubSpotがちゃんと用意してくれてたんだ、わざわざ加工しなくてよかったのか...」と少しショックを受けた機能でもあります。

AIに利用した式に関しては、「フィールドを挿入」でレポートで使用しているプロパティーの内部値を取得してからどういうふうなレポートが作りたいと依頼すると手直しの負担が減ります。

利用条件

項目内容
利用可能プラン各Hub(Marketing / Sales / Service / Content / Commerceなど)のProfessional以上
1レポートあたりの式数最大5つ(Data Hub Proを契約していない場合)
対応するデータ型数値・文字列・日付・ブール値など

「値なし」の扱い方を選べる

地味に嬉しいのが 「値なし」の行をゼロとして扱うか、計算から除外するか を選択できる点です。

たとえば「取引金額から割引額を引いた純収益を出したい」場合、割引がない取引は「値なし」になっています。これをゼロとして扱わないと、本来カウントすべき収益まで除外されてしまいます。

逆に、一律1,000円の割引を適用するレポートでは、金額が入っていない取引にまで割引が適用されてマイナスになってしまうので、「値なし」はそのままにしておきたい。こういった使い分けができるのは実務的にかなり助かります。

式フィールドの作成画面。式エディターに [DEAL.amount] - [DEAL.discount] と入力し、null値を0に変更するオプションをオンにしている

注意

式フィールドの詳細は、HubSpotナレッジベース「カスタム レポート ビルダーで式フィールドを作成する」を参照してください。

式フィールドの参考例6選

ここでは実務で使いやすい例を6つ紹介します。

1. 純収益レポート(収益 − 割引)

最もシンプルな活用例です。取引の金額から割引額を差し引いた「実際に手元に入る金額」をレポート上で可視化できます。

[DEAL.amount] - [DEAL.discount]

割引がない取引は 「値なし」をゼロとして扱う 設定にしておくのがポイントです。そうしないと割引なしの取引がすべて除外されてしまいます。

純収益レポートのテーブル表示。取引名・金額・割引額・純収益が一覧で確認できる

2. リテーナー契約のパフォーマンス把握

受注と失注の比率だけでなく、どのように取引が成立したか(リテーナー契約 vs プロジェクト契約)とその比率の傾向も把握できます。

IF([DEAL.hs_is_closed_won],
   IF([DEAL.engagemnet_type]="Retainer",
     "Won-Retainer",
     "Won-Project"),
   "Lost")

リテーナー契約レポートの円グラフ。Lost・Won-Project・Won-Retainerの3分類で取引構成が可視化されている

このフィールドによって、カスタムプロパティーを作ることなく、成約率・取引構成・コンバージョンパターンを1つのビューで確認できるようになります。

注意

HubSpotの式フィールドでは、=== は同じ動作をするようです。どちらを使っても問題ありません。

3. メール開封数でコンタクトを分類

メール開封数を10件単位でグルーピングする方法です。「0〜9回開封」「10〜19回開封」のようなバケットに分類できます。

([CONTACT.hs_email_open] - ([CONTACT.hs_email_open] % 10)) / 10

メール開封数をバケット分類した横棒グラフ。0〜9回が最多で、開封数が増えるほどコンタクト数が減っている

応用ではありますが、エンゲージメント分析でどのくらいメールに反応しているコンタクトがいるのかを可視化するときに重宝します。

4. 従業員数区分×業種のピボット分析

IFのネストを使って数値プロパティーをバケット(区分)に分類し、ピボットテーブルで業種と掛け合わせる方法です。「どの規模感の企業が、どの業種に多いか」をひと目で把握できます。

IF([DEAL.employee_count] <= 100, "a.0-100",
  IF([DEAL.employee_count] <= 300, "b.100-300",
    IF([DEAL.employee_count] <= 1000, "c.300-1000",
      IF([DEAL.employee_count] <= 5000, "d.1000-5000",
        IF([DEAL.employee_count] <= 10000, "e.5000-10000",
          "f.10000+"
        )
      )
    )
  )
)

ラベルの先頭に a. b. のようなプレフィックスをつけているのは、HubSpotの式フィールドがテキスト値をアルファベット順にソートするためです。これがないと「0-100」「10000+」「100-300」のように数値の大小と無関係な並びになってしまいます。

レポートの設定では、ピボットテーブルの行にこの式フィールド(従業員数区分)、列に業種プロパティーを配置し、値には取引の件数を設定します。

従業員数区分×業種のピボットテーブル。行に従業員数バケット、列に業種が並び、取引件数が表示されている

注意

例3のメール開封数バケットでは割り算を使った算術的なアプローチを紹介しましたが、バケットの幅が不均等な場合(100刻み → 1,000刻み → 5,000刻みなど)はIFネストの方が柔軟に対応できます。用途に応じて使い分けてみてください。

5. IFネストでコード値をテキストに変換

HubSpotの内部では、取引ステージやコンテンツグループIDなど、多くのプロパティーがコード値(英数字の羅列)で管理されています。レポートにそのまま表示すると視認性が悪いので、IFのネストで読みやすいテキストに変換するテクニックが使えます。

たとえば取引ステージのコード値を日本語に変換するなら、以下のように書けます。

IF(
  [DEAL.dealstage]=="closedwon", "受注",
  IF(
    [DEAL.dealstage]=="closedlost", "失注",
    "進行中"
  )
)

IFネストで取引ステージを日本語に変換した折れ線グラフ。進行中・失注・受注の3ラインで月次推移が表示されている

同じパターンで、Content HubのコンテンツグループIDをブランド名に変換したり、トラッキングコードだけを埋め込んでいるサイトではIFとCONTAINSを使ってURLからカテゴリを判定することもできます。

注意

HubSpotの式フィールドでは CASEは利用できません。条件分岐にはIFのネストで対応する必要があります。ネストが深くなりすぎると可読性が落ちるので、分岐が5つ以上になる場合はカスタムプロパティーで事前に値を整理しておく方が管理しやすいこともあります。

6. 時間帯×曜日のコール分析レポート

セールスをやっていると、架電時間ごとで効果の高かった時間帯が知りたくなることがあるかもしれません。DATEPART関数を使うことで、コールのタイムスタンプから時間帯を抽出できます。

DATEPART("HOUR",[CALL.hs_timestamp])

この式をカスタムレポートの計算式フィールドに設定すると、指定された時間単位をもとに数値を返してくれるので、どの時間帯に効果があったのかが見えるようになります。 時間帯別コール分析の棒グラフ。DATEPART関数で抽出した時間帯ごとのコール数を表示している

曜日も組み合わせる方法。 ピボットテーブルで「作成日」や「アクティビティー日」を列に設定し、「日付部分」を 曜日 にすると、縦に時間・横に曜日が出るレポートが作れます。

フィールド編集画面で「日付部分」を「曜日」に設定している様子 時間帯×曜日のピボットテーブル。縦に時間帯、横に曜日が並び、コール数が表示されている

注意

時間×曜日でコールの成果「接続済み」の数が多いところにカラーをつける、ということは現状のHubSpotではできません。条件付き書式のカラーパレットが使えるのは テーブル(表)形式 のみです。

式フィールドを使う上での注意点

データソース選択で使えるプロパティーが変わる

式フィールドを使うから、というよりもHubSpotでカスタムレポートを作る際の前提条件ですね。カスタムレポートの作成時にどのデータソースを選択するかによって、式フィールドで参照できるプロパティーが変わるので、目的のプロパティーが見つからない場合は、データソースの設定を確認してみてください。

必要なサブスクリプションと「Data Hub」表記の混乱

式フィールドの編集画面からリンクされるナレッジベース「Build and activate datasets in Data Studio」に「Data Hub Professional, Enterprise でご利用いただけます」と書かれていて、Data Hubがないと使えないのかと混乱した方もいるかもしれません。

ナレッジベース「Build and activate datasets in Data Studio」のヘッダー。Data Hub Professional, Enterpriseと表記されている

結論から言うと、カスタムレポートビルダーの式フィールドはData Hubがなくても使えます。IFやDATEPARTなどの関数も含めて、各Hub(Marketing / Sales / Serviceなど)のProfessional以上であれば利用可能です。

ではあの「Data Hub」表記は何なのかというと、式フィールドの編集画面からたどれるヘルプリンクの先が「データポータルでデータセットを構築して有効にする」というData Studio側のドキュメントになっているためです。HubSpotには「式」を扱える場所が2つあり、それぞれ別の機能です。

機能場所必要なサブスクリプション
カスタムレポートの式フィールドレポート作成画面の左下「式フィールド」各HubのProfessional以上
データセットの式Data Studio上のデータセット編集画面Data Hub Professional以上

Data Hubを追加契約すると、レポートのデータソース選択時に「データセットから始める」という選択肢が増え、データセット上で定義した式や集計関数をレポートで再利用できるようになります。逆に言えば、Data Hubで追加されるのはこの「データセットレイヤー」であって、カスタムレポートビルダー上の式フィールドや関数そのものではありません。

執筆後記

この機能がベータ版で出てからカスタムレポートの表現の自由度が大きく広がりました。 Looker Studioみたいにはいきませんが、ある程度自由のきくフィールドに、標準で用意された関数などを使うことで、HubSpotから外にデータを出すことなく、内部で完結できるようになったと喜ぶユーザーの方もおられました。

まだ試していない方はぜひ触ってみてください。「あれ、こんなレポートが作れるようになったんだ」という発見があるかもしれません。

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西岡 草実

執筆者

西岡 草実(Soma Nishioka)

HubSpot Solutions Provider

アユダンテ株式会社でSEO/コンテンツ制作、株式会社100でHubSpotコンサルタントを経験。現在はsoma24として、企業規模を問わずHubSpotの成果最大化を支援しています。

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